3賞部門、過去3年間で最高の対象人数総数1,644名。
JHAの進化に伴う作品応募者の作品完成度が注目を集める。
エリア部門の参加人数増、作品群の高評価がこれからを示唆しているかも…!!
栄えある最終ノミネート(FINALIST)への進出は110名のデザイナー。
10月20・21日の最終審査によって再度絞り込まれる。
2011年度JHA第1次審査会が8月25日(木)・26日(金)の2日間にわたり開催された。プロフェッショナル審査員14名及びジャーナル審査員7社9誌の編集長がデザイン性はもちろんのこと、ファッション性や構成の完成度、カメラワーク等について熟考の各審査員数時間の新審査会場による初審査となった。
3月11日の東日本大震災(大津波)に重ねて、原発事故による広範な被害は今なおその終息の予想さえもハッキリ見えぬ中、当初懸念されていたJHAの開催、作品応募者の激減といった関係者の心配をよそに授賞式会場(東京渋谷・セルリアンタワー東急ホテル)を大型化した過去3年間で最高のデザイナー応募を記録した。対象デザイナー人数では、2009年より大賞部門が80→86→87名、新人賞部門が734→663→758名、ライジングスター(7エリア)では734→769→799名と安定した各部門の応募作者を示した。この推移は、JHAがよりいっそうその評価を高めるなど、本来のデザイナー育成といった本意に合った動きが注目されることと、JHA会員の方々の大きな陰の支えが大きかったことを示している。また作品的には、各地での撮影セミナー(作品撮り)が定着しつつあることや、一つの組織(サロン単位、メーカー、ディーラー会員主催)とは別に、あくまで個人として「作品撮り」に挑戦する動きが顕著になってきているのはJHAも過去21回の実績が如実に物語っている現象として喜ばしいことだ。大震災や原発事故のニュースとは別に、3月の東北新幹線はやぶさ1号のスピードや流麗観、スカイツリー高さ600メートル突破や景観美なども多くのデザイナー育成のモチベーションの一助になったとも推察される。
2008年(19th)、JAPAN HAIRDRESSER OF THE YEAR、RISING STAR OF THE YEAR
作者の年齢制限が除かれフリーに。
授賞会場が都市型ホテルの大ホールへ。
2009年(20th)、新プロフェッショナル審査員5名加わる。
2010年(21th)、JHA登場デザイナーが若手に推移、1970年代生まれが多数派に。
JHAの様々な変化を伴う推移に進化が見られる。全審査員による選評(インタビュー)の抜粋から。上記を背景にしたコメントにJHAの方向も垣間見る。(取材順・敬称略)
◆横手康浩(BivoPHASE)
作品撮りの背景に二つの特徴が見られると思う。一つは、現代の若いデザイナーはサロンでの仕事(髪の長さが限られている)以外にヘアデザインを考え、見せたいと思う願望が強い。二つめは、ホームページに作品を載せてお客様がそのデザイナーを指名するのが当り前になってきている。必然的にその作品は魅力のあるものでなければお客様(顧客)にアピールできない。シンプルのみでないデザイナーとしての可能性(総合力)が常に試されている。
◆高橋和義(ZACC)
今の仕事の中で、常に“絵づくり”を意識する。ヘアメイクも含めて全体の「絵」に対する視点が昔とそのバランスが変わってきている。残念ながら、ともするとヘア部門が後じんを拝する。大賞、新人賞作品にその視点の違いを感じる。一枚の絵をつくる感覚がある無しでは、そのデザイナーのクリエイティブな面での伸び率が大きく異なるのが事実。
◆小松利幸(ANTI)
JHAに新しい流れが、といったちょうど変革期の3年目から審査員に。エリア部門がかなり印象深く、特に関東エリアは全体のクオリティのバランスが良かった。NEWCOMERでは、作品へのプロセスは同じ条件でもうまい作者層が多くなり美容界の人材の層が厚くなってきているのを感じた。大賞部門は、企画を与えられた人の優位性が目立った。
◆森井純子(BOB)
創刊9年目。私としては7回目の審査会。年々エリア部門に注目。従来なかなか順位が決められなかったが今年は全体にクオリティの高さ、おもしろさが際立ち、作品レベルが確実に上がってきているのが実感。ヘアデザイナーのつくりたいものが表現されるという意味で大賞部門を見るが、少ないながら選ばなくては、といった思いもある。
◆森永泰恵(PREPPY)
創刊14年。我が編集部は歴代女性編集長、全員女性スタッフといった視点が持ち味。エリアによって作品応募が増えている感じで相変わらずJHAを意識し頂点を目指している人が多いのは心強いこと。同じく女性で結婚しても28歳ぐらいでクリエイティブな場に戻ってくるのも傾向。昨年の大賞作品の影響か、柔らかい雰囲気にまとめる、サロンベースにちかい作品も多くなってきた。
◆古里オサム(OfHAIR)
8、9回といった審査員経験をさせてもらっているが、今回は元気のあるビビットな原色が素敵に見えた。アジアとか世界を引っぱっているという感じで、迷ったりしながらもとてもとても楽しむことができた。外人モデルオンリーから脱皮しつつあるのも好印象。引きではなく寄せのアングルのとらえ方が上手になった。モデルが生かされている(力んでいない)作品が多くなりその感性が魅力でこれからに期待したい。
◆高澤光彦(PEEK-A-BOO)
モデルへの似合わせ(似合う)が基本的。リアリティのある作風に共感する。NEWCOMERでは、ショートカットの時代なので、一般的なサロンワークとしても現実にありそうな(使えそうな)提案の作品をピックアップした。同じように大賞にしても、撮影作品と言えどもモデルが喜んでくれる、その人がより見えてくるといった一体感のある雰囲気を高く評価した。
◆宇都真理(髪化粧)
JHAの審査会はとてもエネルギーをつかう。体が熱くなる感じがとても好き。エリア部門は地区によって平均的優劣が以前あるが、全体的にとても刺激的であった。特に東京エリアは素晴しかった。大賞、新人賞はその撮り上げの時期もあるがどうしてもちょっと昔、といった感じが出てしまう。色の組み合わせが年々その感覚が高まっている。トータリティの高さを感じ〈女性観〉にたいするレベルが上がっている。大賞に関しては低調か。新人賞は雑誌側のテーマの出し方に課題があるか。
◆峰島幸子・星比奈子(Shinbiyo)
フルで審査に参加しているが、今回は一口に言ってコメントし難い感じ。作品発表がこなれてきたり円熟してきているのはJHAが進化しているということで評価できる。一方、ハッとするようなギラギラするものが欲しい。エリア部門では技術的に素晴しいのには驚かされたが、今の時代にどうフィットしているかというデザイナーとしての感性に疑義のあるものも多く指摘しておきたい。撮影セミナーへの参加が多いこと。社に持ち込み作品を、などその意欲には敬意を。
◆高橋マサトモ(MINX)
ほとんど10年の審査員。自分としても、初のノミネートが新人賞となったことが今でも鮮烈に記憶している。自由な発想の作品(作り手自身がしばりの垣根)、クリエイティブな作品が少なくなったのは寂しい。その良し悪しは別にしても若さからの挑戦には期待したいから。時代的に(金銭的予算)無理があるのかもしれないが、全国的に認知されているJHAとして、その高クオリティを発表する場(期待などその人気)であり続けてほしいから。
◆有村雅弘(imaii)
エリア部門全体アクティブな作品が多くなった。JHAの期待する方向であり良いこと。ただ、作品のテイストを絞って統一にした方がアピールできるのでは。自己中心ではなく、評価される、選ばれるという視点にも想いを馳せてほしい。
◆八木岡聡(DaB)
一般ユース(ファッションの流れ)とは離れてしまうのは痛感するが、ショートヘアの作品が圧倒的に多く偏重という傾向も、《美容師による美容師のアワード》という基本的な根幹がある以上、少々マニアックなデザイン思考もやはり刺激的か、と思えるようになった。
◆森京都(Snip)
全体的にレベルが上がっているということは自他共に認めるところ。過去20回の開催がJHAの存在を醸成させているということ。エリアはおしなべてレベルが高くなっているが、その優劣はモデル選びの差、と言える。もう一つ、エッジの効いた絵づくりを考えるあまり、モデルの持つ個性に頼り過ぎ(同一モデルが多数起用されている)は一考を要する。NEWCOMERでは、第一線で売れているスタッフ(人気がある)がサロンでの仕事と作品づくりとの微妙なニュアンスを体得してほしい。各サロンでの人気者をNEWCOMER作者として育てたい。
◆白坂春光(VISAGE)
サロンスタイルから派生してもクリエイティブな雰囲気まで昇華するのが今風。自然感覚を持ちながらハイクオリティに演出する。シンプルな作風は単純という一義的なものではない。つくるあるいはつくらない、といったゴールがしっかり把握できていないと自然風が大きく異なってしまう。指ぐしで型をつくる。何もしないことではない。私のサロンでもクリエイティブ、ビジネスと大きく二つに分け、クリエイティブ部門では撮影などスタジオはもちろん営業終了後ではなく特別にその時間を設定するなどして来年2月より本格的にスタートさせる。
◆佐藤弘人(TOMOTOMO)
今回が初回の経験。だが、社内別の誌上などで関わることが長かったのでさほど驚きみたいなものは感じなかった。一作者による複数点の作品ではどちらに基準を置くかで大きく迷った。とても気になったのは1.エリアによって作品レベルのバラツキが大きい。2.複数点発表の作品は、この1点だけならば推すのに、という感想をかなりの作者に抱いたこと。
◆上田美江子(SHISEIDO)
このところ地方都市へ出向く機会が多く以下2点の現象が強いことに気が付いた。1.まったくフリーの立場でJHAを意識した作品づくりに打ち込むグループの存在。2.いろいろな場面で(自分の)作品を見てくれという方々に接する機会が多くなったこと。共にJHAの実績だと嬉しいこと。専門誌掲載の作品を皆がよく見ている感じで、他の作り手を意識して研鑽している様子は素晴しい。大賞はやはり限られた人たちという印象であるが、各共催誌上に指名されて登場し、一定の水準を保ちなおそれを継続できていることは大きな評価になる。
◆遠藤真耶(Fashion Edge)
2回目の審査。我が編集部は(取材として)美容師がやりたいことを第一に考えて作品撮りをしている。チェックポイントは、フォトコンであることからして“一枚の絵(写真)”でのバランスの良さが決め手。自分のやりたいことが自由に表現できる半面、“似合わせ”に欠ける作品が散見されるのはこれからの注意点。諸々に〈修正在りき〉は認めたくない。
◆寺口昇孝(HAIRMODE)
まず指摘したいのはエリア部門で絵づくりに走り過ぎ、おもしろさ優先、モデル(女性)が汚く感じるの3点。基本的にとにかく“きれい”を最優先してほしい。技巧に走り過ぎ、やたら顔を隠すようなデザインは好きになれない。大賞では、クラフト風など造形的なものが目立ったが、あくまで女性の価値を上げるという取り組みが大切ではないか。センスが要求される。新人賞では、一つの企画の中で(サロンスタイルでも)長さやボリューム感などにメッセージ性を強められる工夫が大切。スナップを撮るという感覚ではないのでは。
◆井之丸泰子(Innocent)
大賞ではクオリティの差が大きい点が目立った。一時のCGに頼ったものが少なく、何でもやれば良いという風潮も無くなった、歓迎。あくまでモデルの髪を生かすというところに美意識が発揮されるべき。エリア部門は年々レベルが上がっているのは皆さんも認めている。が、昨年の受賞作のコピーに近いものがまだあるのは残念。作者はオリジナリティで勝負するという姿勢を強く持ってほしいと思う。昨今はネット上で見る情報が多いのでそれらに安易に左右されるのは慎むべき。作品づくりとは、サロンでのそれのように即料金を頂くわけではないという仕事の違いを確認してほしい。
◆川原文洋(STUDIOBEAUTY)
大賞では、時代を反映してかサロンワーク的な作品が多かった。雑誌社からのテーマの出し方なのかどうか。フロントページを飾る機会が多いのでハイクオリティを感じる作品群を観たい。エリアによっては店単位で作品を作っている感じが見受けられたが、作品撮りということは、自分を(技術も含めて)客観的に確認するという作業だから気負う必要が無いんじゃないか。作者が(かつらやアクセサリーを要して)“どうだ”とみせつけるものではなく、作品を見る側に心地良さを伝える(気合い充分からフッとぬけた)必要が大切なのでは。
◆矢作祐美子(Ocappa)
エリア部門では東京・関東に注目したい作品があった。エリア別でも平均して2~3点はゴテゴテではなく(お客が見ても好印象に)と明るい躍動感や質感などセンスを感じるものがあった。その人数は少なくともJHAとして望む方向にあるのは良いこと。
◆野沢道生(Noz)
大きな流れとしては、共催各誌の昨今の意向ではあるが全般的にナチュラルなもの実用的な意味あいが強過ぎる感じは否めない。大賞部門として、ナチュラルな傾向の作品づくりは否定するものではないが、デザイン的にこの部門はよりクリエイティブなもの、挑戦的な作品づくりに期待したい。JHAは、日本最大のクリエイティビティな場であることは関係者の皆が意識したい。その上で、ヘアデザイナーとしてサロンワークの上でも一歩先、ちょっと先といった美意識や時代性が不可欠でそんな意味からも顧客の社会現象には常に敏感でありたいと思う。
◆川合昭(ZA/ZA)
エリア部門が確実にステップアップしている。背景には、都市部で修行したり環境的に美意識の高いところで過ごした方々が地元に帰りひとつの存在感を示している。ファッションの流れが身についてきて、作り手の仲間どうしでセッションを重ねて(一生懸命研鑽している結果)水準を保つようになっている。JHAにとってとても素晴しいこと。多くの方々が指摘しているが、JHAというアワードの特性からして、感性プラスクリエイティブな分野への挑戦は欠くことの出来ないこと。これは特に全体にアピールしておきたい。
